ショートコース実行委員長ご挨拶

第13回日本薬物動態学会ショートコース 実行委員長
平林 英樹(武田薬品工業株式会社 薬物動態研究所)

平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

この度、第13回日本薬物動態学会ショートコースを2019年12月9日(月)に、茨城県つくば市のつくば国際会議場において開催させて頂くことになりました。

ショートコースはこれまで企業主導で開催され、医薬品開発における薬物動態学の課題をテーマとすることで、学問領域と創薬現場との接点を考える機会を研究者に提供してきました。薬物動態研究は、非臨床研究から臨床研究への橋渡しに重要な役割を担っており、あらゆる医療モダリティにも対応すべく、その研究のあり方を考えなければならない立場にあります。本ショートコースでは、薬物動態学にとって新たな局面となり得るテーマを取り上げます。それは、『再生医療技術』であります。

近年、創薬シーズのモダリティの多様化が益々加速しています。既に、抗体医薬や抗体-薬物複合体 (Antibody-Drug Conjugate)に代表される生物製剤が医薬品市場に大きなインパクトを与えており、今後も急速に市場を拡大していくことが予想されています。そのような中、キメラ抗原受容体発現T細胞(いわゆるCAR-T)療法を初めとする細胞療法は、高度な生体機能改善を伴う画期的医療モダリティとして登場し、今や世間一般の目にも耳にも入るほど身近になりつつあります。そこで本ショートコースでは、この再生医療技術をテーマに掲げ、細胞医療製品開発に焦点をあてます。化学合成分子でもない、また天然物や生物由来成分でもない、この「機能性細胞」をいかに医療製品化するのか、その開発過程の中で、薬物動態研究の貢献と活躍の場はどこにあり、その研究はどうあるべきなのか、を考える機会を、ご参加下さいます研究者の皆様に提供したいと考えています。さらに、再生医療技術、特にiPS細胞を基盤とした創薬への応用化研究は、既に国際的な過当競争の様相を呈しています。iPS細胞から構築したオルガノイドやミニ臓器を用いた薬物動態・毒性研究領域における最前線の話題も取り上げます。iPS細胞という世界に誇る大発見を生み出した我が国こそが、再生医療技術を活用した創薬基盤の構築など応用化研究領域でも世界をリードしていくべきであることを再認識して頂ける機会にしたいと思います。

本ショートコースでは、実際に再生医療技術に携わっておられます研究者の皆様のみならず、これから研究を始める方々にとっても、基礎から応用までの世間動向を一望できるような有益な情報が集積される予定です。薬物動態学が迎える新時代を先取りした本企画に、多数の方々がご参加頂けることを心よりお待ちしております。

平成31年1月吉日